詩術 
                      尾崎喜八

  小さい軽率な木の葉たちが 林のへりで
  わずかな風にもそよぐように
  さまざまな言葉がわれがちに競い立つ、
  詩人の情感の波のへりで。

  しかしその言葉たちが真によく選ばれて
  ひとつの確かな造形をなすためには、
  歌の過程に抵抗と撓みとが無くてはならぬ、
  森が嵐をつくるように。


 


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注)軽率 ケイソツ/競い キソイ/造形 ゾウケイ/過程 カテイ撓み タワミ