野の仏 尾崎喜八
景勝の地に彼らを置くな。 むしろ星の流転と雨風の侵蝕、 草木の盛衰にそれをゆだねよ…… ああ、これら、 やがてはすべての煩悩から解き放たれて 純粋な歌と化し、 匂いと化すべき愛惜の形姿のむれを。